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奥三河の農耕儀礼

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 俗信と迷信の話1

▲食後に座り反芻をする牛

 奥三河の市町村誌は、民俗編に昔の俗信と迷信を記載する。なかでも、鳳来町誌は75ページにわたり、多数の俗信を掲載する。俗信とは、未開社会の民間の信仰慣習で「○○をしてはいけない」と禁忌(タブー)を強調して、子供の教育や躾に用いたものもある。   
 俗信は原因と結果に因果関係がなく、結果のみを重視する。例として「敷居に座るな、尻に出来物ができる」のたぐいで、神聖な敷居に座ったから尻に出来物ができたと想像した。民俗学では、社会生活に支障をきたす有害なものは迷信、害のないものを俗信と規定する。迷信は、昔の民間医療に関するものに多い。今月は奥三河の俗信を紹介する。
☆印が俗信である。
☆食後すぐに横になると牛になる。
 食後すぐに横になる子供を見て、大人は行儀が悪いと考え、牛を連想した。行儀とは、立ち振る舞いの作法である。牛は反芻動物で胃が四つあり、食後二十分ほどして座り、一度食べた餌を一胃から口に戻し、再び咀嚼をする。反芻は牛のほか、羊、山羊、羚羊らが行う。昔は牛のほかに、犬になるともいった。子供に食事の作法を教えるのに、牛になるといえば効果があると考えた。医師は食後すぐに眠るのは肥満になると、力士が昼飯のあとに午睡する習慣を事例にあげ、健康管理に注意するよう警告する。
☆座布団を被って寝ると出世をしない。
 座布団、胡座などは敷物であって、被ることは作法に反する。出世しない理由は、昔の乞食が御座や座布団を被って防寒に使ったと説明する。昔は生活用品の正しい使用目的を子供に理解させた。被物の笠、頭巾、手拭など、元来は雨や雪、陽射しを防ぐもので、それ以外に使用を戒めた。この類の俗信の事例は、多数ある。
☆足袋を履いて寝ると足が不自由になる。
☆子供が笊を被ると背が伸びない。
☆箸で茶碗を叩くと貧乏になる。
☆枕を踏むと頭痛がおこる。
☆枕を投げると眠れなくなる。
☆頭巾を被って眠ると禿げ頭になる。 
 旅館経営者は修学旅行の夜に、田舎の学童は枕を投げ合って困るという。枕投げは厳しく育てられた少年には、生涯に一度の楽しい遊びだった。
☆茶碗のご飯に箸を立ててはいけない。
 葬儀の「枕飯」は茶碗に箸を立て、死者に供える。飯に箸を立てるのは、死や葬儀を連想させる不吉な行為で、日常生活では絶対に慎むこととされた。私の故郷の浜松市佐久間町では、枕飯を作るにあたり、厳格な儀礼があった。屋外に石積みの竈を造り、子や孫が炊いた。身内のない者は、組の者が行ったが、今は簡素化され葬儀屋が用意する。
☆秋茄子は嫁に食わせるな。
 秋茄子は種子が少なく嫁に食わせると子供を産まないとの説、秋茄子の粕漬はきわめて美味しく、嫁に食わせると美食に慣れ贅沢な生活をするとの説、舅が憎む嫁に食わせるなといった、との説がある。この俗信の由来は古歌の「秋なすび早酒の粕につきまぜて棚にをくとも嫁に食はすな」が出典といわれる。
☆災難を防ぐには村境に注連縄を張れ。
 村境に注連縄を張るのは、流行神などの病神を防ぐ予防と対応を意味する公共的な呪術である。現在でも山村に行くと村境の道路の上にワイヤーを張り、長い注連縄をとりつけてあるのを見かける。注連縄は、神聖な場所を示す表示に使う。古代は神社に巡らしたと伝わるが、後世に家の戸口、神棚、農具にも張る習慣ができた。
☆自分の箸を他人に使われるな。
 昔は自分の箸を他人に使われると、寿命が短くなるとして嫌った。そのため、食後に割箸を折る習慣ができた。また、家でも家族ごとに個人の箸が決まっていた。自分の用具には魂が乗り移り、他人に使われるとその魂を奪われると想像した。昔の農民は自給自足の意識が強く、昔は箸、草鞋を自分で作った。現在でも山で働く人は弁当のみを持参し、箸は黒文字、檜や杉の枝で作り、木の香りを楽しみながら食事をする。箸は新しいほど喜ばれ、正月に縁起箸として柳で箸を作る旧家がある。
 柳は「家内喜」とも書き、新年の雑煮の取箸に使う。落人が開拓したと伝わる山深い集落に行くと、昔に祖先が川を見て箸が流れて来ないのを知り、無人の谷として分け入ったという。平安時代末期の武将の源義経は、吉野を脱出する際の戦術として、川に大量に箸を流し、大軍がいるように、敵を欺いたと伝わる。

(続く)


文:新城市平井  伊東 文弘 絵:新城市大海  前田 百合子



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